From:姉歯@DBm
自宅の寝室より
デザインをしているとわかりづらいものに「線数」と「解像度(dpi)」というのがあります。
線数というのは、ざっくり言うと印刷機で印刷するときの印刷の細かさを意味します。
印刷機によってカラーの再現方法は異なりますが、スクリーンを使う印刷機の場合、印刷機は各色ごとに配置された網点を使って色の濃淡を出します。この網点が1インチの中にどのくらいあるかを示すのが「線数」なんですね。
一方、dpiは画面上の画像の細かさを表すもので、1インチ幅に並ぶドットの数を表します。これはパソコンを使う人ならおなじみという方も多いと思います。
一見すると似ていますので、印刷をお願いするとき、線数と同じ解像度の画像を作ればきれいに印刷できそうに思えますが、そうではないのが難しいところです。
その原因は印刷機と画面では色の再現方法が異なるからです。パソコンの画面の場合、一つのドットで色を表現できますが、印刷機の場合は一色では色を表現できず、人間の目の錯覚を使って色を表現しているんですね。
もう少し具体的に書くと、画面上で紫色を表現するときは紫色を表示しますが、印刷物で紫色を表現するときは赤と青の小さい点を交互に並べます。この印刷物を拡大するとただの赤と青の点々ですが、離れたところから見ると人間の目の錯覚で二色が混合され、紫色に見えるというわけです。
つまり、印刷機は色の三原色+黒の4色でカラーを再現しているのです。印刷機の線数は1色に対して網点の数を表す数値です。でも実際はその網点が複数組み合わされて色を出しているわけですから、線数とパソコン上での解像度を同じにしてしまったら印刷結果が粗くなってしまうというわけですね。
またちょっと専門的な話になるのですが、複数の点を規則正しく並べると、意図しない模様が見えることがあります。これを「モアレ」というのですが、この現象を避けるために4色の網点は角度をつけてモアレが出にくいように配置されます。
パソコン上の画像は縦横に整然と点々が並んでいますが、印刷物の場合はそれが斜めになっていると考えてください。同じ解像度の画像を45度傾けて重ねると、一つ一つの点が綺麗に重ならず、ガタガタになってしまいます。これを避けるためにも元の画像の解像度を高くしておく必要があるのですね。
一般的に、パソコン上での画像解像度は、線数の2倍程度あれば良いと言われています。「印刷は175線」と言われたら、画像は350dpiで用意すると良いでしょう。
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