選ばれる仕掛け作りコンサルタントの姉歯です。
12月14日にトヨタがタイでトヨタ・モーター・タイランド設立60周年の式典を行いました。
日本からトヨタ本体の社長が訪問してスピーチをしたそうなのですが、その中身が「本当にお客さんを見ているんだなぁ」というのがとても良く分かる内容だったのでシェアします。
すごいと思ったのは以下の点です。
- ソンブーン・レストランの隣に住みたい
- タイ現地法人の社長がお坊さんになった話
- 豊田社長が故国王にかばってもらった話
これだけ見ると、恐らくほとんどの人は何がすごいのか分からないと思います。それでいいのです。
普通の日本人は分からないにもかかわらず、この三つの話は全てタイの人にとって「かいしんのいちげき」になる話題なのがすごいのです。
豊田社長の顧客目線
まず一つ目のソンブーン・レストランというのは、タイ人なら誰でも知っているおいしいカレーの店です。日本で言うcoco壱番屋でしょうか。豊田社長まずはこの話題で笑いを取りました。
次に、現地法人の社長がお坊さんになった話です。タイは仏教の国で、お坊さんに対してものすごいリスペクトがあります。というのも、お坊さんになるにはとても厳しい修行をする必要があり、タイ人は全員その辛さを知っているからです。
その前提で「社長がお坊さんになった」と聞くと、タイの人たちにとってどれだけ心に刺さる話題なのか分かりますよね。
さらに三つ目の話題は、豊田社長が就任直後にプリウスのリコール問題でアメリカ議会に呼ばれたときのものでした。このとき、世界中でトヨタは疑いの目で見られましたが、その時唯一トヨタを擁護してくれたのが時のタイ国王ラーマ9世だった、というエピソードです。
この話題を出す前には、ラーマ9世に注文してもらった車の代金で農家を救うための会社を作ったという話もしています。
ラーマ9世は2016年に他界していますが、タイ国民からは圧倒的な支持を受けていた人物です。亡くなった時には各国のタイ大使館、タイ観光庁、タイ国際航空などのタイ関連サイトが軒並みモノクロになって喪に服したほどです。
トヨタ社長はその国王に深い敬愛と感謝を表明したわけですね。現地参加したジャーナリストによれば、豊田社長の話を聞いて、参加したタイ人の半分以上が泣いていたそうです。
ここまでの話をされたら、タイの人たちに豊田社長のスピーチを聞かないという選択肢はもうありません。最後まで真剣に話を聞いてもらえたことでしょう。
マーケティングの極意
マーケティングの最大の極意は「お客さんに寄り添い、お客さんの言葉で話し、お客さんの問題を解決する」ことです。今回の豊田社長のスピーチはまさにマーケティングの姿勢そのものだったと言えるでしょう。
私たちはついつい自分自身を中心にした話題や言葉を使ってしまいます。あなたはどこまでお客さんの言葉で話していますか?
追伸
豊田社長のスピーチ全文は以下のページから読めます。興味のある人は是非読んでみてください。
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