選ばれる仕掛け作りコンサルタントの姉歯です。
ブルースターバーガーというお店が全店閉店したそうです。
このお店はテイクアウト専門のハンバーガー屋さんで、注文や決済も全てITを使って効率化を進めていました。
効率化で浮いた分は全て食材費に回し、通常原価率30%前後の食品業界において、原価率68%で高品質なバーガーを安く提供する、という事で開店当初は長蛇の列ができるほど話題になったそうです。
でも、それがたった2年で全店閉店になってしまったという事でした。
個人的には失敗の原因は3つあるかな、と思っています。
- 全てIT化して接客をなくしたために商品価値が伝わらない
- 原価率を高めすぎて余裕がなくなった
- 価格が高くないと買う側が価値を受け取りきれない
まず一つ目の全てIT化したという点はこのお店の特色でもあります。でも、店員を置かず、顧客とのコミュニケーションを減らした事によって、お客さんに商品価値を説明する人がいなくなってしまいました。
結果として、本当は価値の高い商品がただの「安いハンバーガー」と認識されていた可能性があります。
二点目の原価率については言わずもがなですね。私も食品のビジネスを経営していますが、いくら何でも原価率68%ではきついはずです。
もっと価格を上げていれば、1つめの問題をスタッフを雇って解決したり、ITを利用したコミュニケーションでフォローしたりといった対策を取れた可能性があります。
何より、こんなにギリギリの価格設定では、ほんの少し仕入れが上がっただけで利益が吹き飛んでしまいかねません。恐らく、インフレの影響を思いっきり受けたのではないかと思います。
最後はちょっと分かりづらいですが、人は商品に対して、自分が払った金額分の価値しか受け取れないようにできています。
だからどんなに原価率が高く、高品質なバーガーでも、安く売っている時点でお客さんは「安物」と認識する可能性が高いのです。
もちろん、高品質なものを安く売ってくれればお客さんは嬉しいのは間違いありません。でも、それならちゃんとその価値と、値段が安い理由を伝えなければ、お客さんは価値を認識してはくれないのです。
良い物を安く、というのは決して良いことばかりではありません。是非気をつけてください。
コメント
コメント一覧 (2件)
「良いものを適切な値段で」「価値を見えるように」ですね。
おっしゃるとおりです。ちゃんとお客さんがわかりやすいように価値を訴求することは本当に大事だと思います。