泉中央のカフェより
データビジネスの姉歯です。
昨日、安い機械式時計と高い機械式時計について書きました。
同じ「機械式時計」で、ここまで値段が違うのは不思議ですよね。
確かにとんでもなく高い機械式時計はケースがプラチナだったり、針が純金だったり、時刻表示がダイヤだったりするものもあります。それなら貴金属として高いのも頷けます。
ものすごい高度な技術が使われているケースもありますね。僕が買った時計は日付表示がついていますが、これは毎月必ず31日まで刻まれてしまうので、30日までしかない月や2月は手で修正しなければいけません。
超高級時計の中には30日、31日の違いだけでなく、閏年まで機械的に補正する機能がついているものがあります。その他にも時間のずれが少なくなる機構が入っていたり、時報機能がついていたりするものは高機能だから高い、といわれれば分からなくはありません。
違いがないのに値段は違う
でも、そうじゃないものもあります。ほとんど普通のステンレス部品だけで作られた単純な機械式時計でも、数十万円するような時計はいくらでもあります。
一方、昨日もお伝えしたとおり、僕が買った自動巻きの機械式腕時計は8,000円です。
こんな差が出る一番の理由は、高級時計が人の「欲しい」という感情を動かすのに対し、僕が買った安い時計は論理的に「必要」なものだからです。
そもそも今の時代、腕時計が必要な場面はそう多くはありません。もちろんビジネスマナー上必要なのは分かります。でも、時計本来の「正確な時間を知る」という意味においてはスマートフォンがあれば充分ですよね。
でも、僕が買った安い機械式時計は、そもそもスマートフォンが普及しておらず、電波も飛んでいなくて、電池すら手に入るかどうか怪しいところで使われるものです。つまり、その環境では他に替えの効かない「必要」なものです。
人間は頭を使う生き物です。だから、自分の意思と関係なく必要なものは、どうしてそれが必要なのかを考え、代替手段を探し、いくつもの競合製品の中から最も安価に必要性を満たしてくれるものを買います。
だから強力な価格競争が生まれ、値段がどんどん下がった訳ですね。
一方、スマートフォンが使える環境では、機械式時計なんて「いらないもの」でしかありません。だから、機械式時計を買う人は必要に迫られて買っているのではなく、「欲しい」という感情に突き動かされて購入しているのです。
高価格製品の値段が高い理由
人は感情のレベルで「欲しい」と思ったものは、同じカテゴリーで最安の品でなくとも購入します。あなたにも、他にもっと安いものがあったにもかかわらず、欲しいという思いが先だってちょっと高い買い物をした経験があるはずです。
高級車、宝飾品、世界旅行。いずれも必要ではありませんが、高い金額を払ってでも欲しいと思う人がいるから成り立っています。
つまり、「必要(ニーズ)」で買われる商品は価格競争にさらされ、「欲しい(ウオンツ)」で買われる商品は価格が高くても買ってもらえる訳です。
もしあなたが「安くしないと買ってくれない」と悩みを抱えているなら、その商品、お客さんの「ニーズ」を満たすために作っていませんか?
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