選ばれる仕掛け作りコンサルタントの姉歯です。
ここ何回か、商品点数を増やしても売上が増えるわけではない、ということについてお伝えしています。
売上が増えないどころか、商品点数を増やすことには「利益が減る」「売価が下がる」といったデメリットもあります。今回はデメリットの三つ目「購入率が下がる」という事についてお伝えします。
一見この話は矛盾しています。商品点数を増やせばお客さんは多くのラインナップの中から自分に合わせて好きなものを選べるようになります。だからより多くの人の好みに対応できるようラインナップを拡大すれば、より多くの商品が売れるようになるはずですよね。
人は迷ったら買わない
でも実際のところ、多くの商品を用意するとお客さんは迷います。自分の好みをしっかり把握している人は多くはありません。それに、前回お伝えしたとおり、商品ラインナップを増やすと個々の商品の解説に手間を掛けられなくなります。
結果として、お客さんは目の前にあるラインナップの中で自分に合うものがどれなのかを判断できません。そして、お客さんは迷ったら「商品を買わない」という選択をします。
厄介なのが、ちゃんと情報提供してもお客さんは選べないケースが多いことです。
というのも、人は常により良いものを買いたいと考えているからです。
だから何かを買おうとするとき、ラインナップの中でどれが良いかできるだけ情報を集めて比較検討したいと考えます。でも、ラインナップが多すぎると、検討すべき情報が増えすぎて、短時間で判断を下せなくなってしまいますよね。
すると、「今はどれが良いかわからないから買うのをやめよう」という判断を下すのです。
この傾向はコロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授が1995年に実験で確認をしていて、心理学では「決定回避の法則」として知られています。
商品点数を減らして成約率を上げた日本の事例
実際、通販で有名なShop Japanが、カタログの商品掲載点数を134品から32品に減らしたところ、商品1点あたりの成約率が4倍に増えたという事例があります。
商品点数が1/4、1点あたりの売上が4倍ですから、結果として売上は同じくらいです。でも、これまで掲載していた3/4の商品の在庫リスクや仕入れなどの調整、さらにはカタログの印刷費等が減っている訳ですから、利益は伸びているはずですよね。
もしあなたの商品ラインナップが多いなら、是非一度売上や成約率を元に整理してみてください。元々売れていた商品がもっともっと売れるようになり、スケールメリットが生まれます。
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